「水の公子と失われた記憶」執筆メモ №12
夏生たえのブログにお越し下さり、ありがとうございます。今回は「貞操観念」と「保護院」について。この設定は、主にフレデリクとエマの物語を描くために考えたものです。

物語における貞操観念と保護院の設定について
貞操観念の背景と目的
本作の世界観は、17世紀ヨーロッパをベースにしています。 そのため、女性の貞操が重要視されていた史実を、そのまま採用しています。
物語世界において、貞操が重視される最大の理由は、 「後継者の正当性」を保証するためです。
貞操を失った女性が産んだ子どもは、 「本当に夫の子かどうか」が疑われ、家の信用そのものが揺らぐことになります。
特にアルフソン王国では、 「直系の血筋を絶やしてはならない」という理念が王家・公爵家に深く根付いており、 この価値観が貞操観念の厳格さを支えています。
貴族社会と婚姻の重み
- 結婚は、家と家の契約とされ、 特に貴族階級では、政治的・経済的な意味合いが非常に強いものでした。
- 女性の貞操(処女性)は、家の名誉と直結しており、 婚前の純潔は極めて重視されていました。
- 女性の不貞は、重大な裏切りとされ、 離婚・追放・時に死刑といった厳しい罰が科されることもありました。
史実では、男性の不貞には比較的寛容な傾向がありましたが、 物語では、同じ血族内での不貞を“家門に対する裏切り”として、厳しく罰する設定にしています。
保護院の役割と意味合い
この物語に登場する「保護院」は、修道院をモチーフにしています。ですが、宗教的な意味合いはないため名前を変えました。 史実から使える要素だけを拝借し、物語の都合に合わせてアレンジしています。女性専用の施設です。
保護院の社会的役割
- 持参金を用意できない場合、結婚が困難となり、保護院が“次の選択”とされた。
- 保護院への入所にも持参金は必要でしたが、結婚に比べて安価で済むことが多く、 家の経済的負担を軽減する手段として選ばれることもありました。
- また、親の死後に「女性が安全に暮らす場所を確保する」という意味合いもありました。
保護院内の階層と待遇
- 持参金の額によって、院内での待遇に差がありました。
- 高額の持参金を持参した女性は、個室や召使いを持つなどの特別待遇を受けることができました。
- 一方、持参金が少ない者は、共同生活の中で厳格な規律に従い、労働や奉仕に従事しました。
- 院長などの高位に就くには、高貴な出自と十分な持参金が必要とされていました。
保護院での生涯隔離
- 罪を犯した女性が保護院に送られ、“幽閉”される形で生涯を過ごしていました。
- 院内では、独房や隔離された区画での生活を強いられ、 それは「生きながらの死」や「社会的な抹消」を意味しました。
- 囚人として収容される場合も、収容費用が必要でした。その金額が高額であれば、食事や独房の待遇が改善されました。
広大な庭には畑などもあり、農作物を育てたり、食事を作ったりといった、集団での自給自足生活。囚人でなければ、定期的に街に出向くこともでき、自分たちが作った手芸品などを売ったり、孤児院などへの奉仕活動なども担ったり……。
集団生活に慣れてしまえば、結構楽しめる。というイメージを思いうかべました。
また、保護院の方針によって、自由度は違いました。その一方、同じ建物の奥に収容される囚人には、どの保護院であっても、かなり過酷な生活が強いられていたのです。
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